快活なディビス・カップ

デイヴィス・カップ

デイヴィス・カップ

ウオルター・デイヴィスのオリジナル曲ばかりです。
なんとなく、その曲の完成度がもう一つかな〜。という作品。
相撲で、つっぱりが上ずってしまって、威力ナシの状態になることあるけど。
それにかなり近い楽曲と感じます。スイングしてるけど、もうひとつ音の選び方がアマイ。
そんな気がします。

演奏はとても快活で素晴らしいと思う。
それは、かつてジャズ喫茶で流行った事を物語る事実のように思います。
快活さがこのアルバムの幸福感だね。
良かった良かった。

録音も良いな。
低音がよく録れているし、それもジャズ喫茶人気の秘結かな。
JBLのデカスピーカーに最適化された音かもね..........。

マクリーンとダンバードだけど、彼らも4打数2安打打点ナシ。くらいの仕上がりと聴いた。
美味しい古漬けの味という感じ。
聴くほどに好きになりそうな一枚かもしれません。

スティットとパウエル、凡人と天才の共演

スティット、パウエル&J.J.+3

スティット、パウエル&J.J.+3

久しぶりに今朝聴いたけど、どうにも乗れないCDだ。
ソニー・スティットのテナーは、デリカシー無く、音の圧力も単調でちっとも心地良く響かない、メロディーも凡々としていて退屈だ。それに引き換え、バド・パウエルの演奏の気品と躍動感はものスゴイ。
早くテナーのソロが終わって、ピアノにならないかなあと全曲思い続けて聴いてしまう。

一般的なジャズ解説では、バップ時代にチャーリー・パーカーそっくりだと言われて、もう一つ評価されないアルト吹きのソニー・スティットは、それではパーカーとの違いを現わしたいがために、テナー・サックスに持ち替えて、演奏することにしたらしい。
なんだか、その発想事体が、最初から負けですって言っているみたいで二流っぽい。勝負の仕方が弱気で面白くないけど、その作戦における、最初の吹き込みがこれなのだそうだ。
共演者で勝とうという、これまたせこい発想なのか、ピアノに当時、驚異の演奏家であるバド・パウエルを迎えて録音に臨んだ。
この当時バド・パウエルは、いわゆる全盛時代といわれていて、ピアノトリオを中心に、素晴らしい演奏を記録している
気分屋のパウエル氏に、どうしてもベストの演奏をしてもらいたかったらしく、
「おお〜偉大なるミスター・パウエル、素晴らしいですネ〜」を連発して、ノセまくったらしい。
それでこの類い稀なる躍動するパウエルの記録が生まれた。
しかし、ちょっとソニー・スティットにノセられ過ぎなのか、いつものようなナイーブさや真剣さが、やや感じられなく、“わはははは”状態の演奏になってしまったと思う。
私は、バド・パウエルが大好きだし、これは彼の貴重な名演なのだが、やっぱりどうにも乗れないセッションなのだ。
ソニー・スティットも嫌いなわけではない。次元を同じくするミュージシャンとならば、素晴らしいアルバムも沢山残している。
さらに、この発狂しそうなバカっぽいイラストのジャケットも、どうにも乗れない一因なのだ。

ステファノ・ディ・バティスタのパーカーズ・ムード

パーカーズ・ムード (CCCD)

パーカーズ・ムード (CCCD)

チャーリー・パーカー的ビ・バップをこのメンバーでやると、どうなるのって興味の一枚。
一曲目ソルトピーナッツ。なにせ急速調ですが野太さはない。
全体にそよ風のような、さわやかビ・バップ。
さすがに2曲目のバラードは好いなあ。エンブレイサブルユー。
ステファノ・ディ・バティスタのサックスは、ある種の素晴らしい空間的イメージを作り出す名人だと思う。この曲は彼の個性が生きていると感じる。
3曲目、ジャズファンなら耳タコのチュニジアの夜も、ラテンリズムのアレンジ。
作戦考えたんだろうけどこれは想定内。熱帯ジャズ楽団を思い出してしまった。でも演奏は二重丸。
全体にクオリティー高いし、センス良い内容です。流石に上手いことまとめるもんですね〜。
バティスタ氏は、アート・ペッパーのプレイをレコードで聴いて、ジャズ道に入門したとか、ライナーノートに書いてある。それならペッパーズ・ムードみたいな企画もやった方が良いと思う。そういうのもう吹き込んだのかなぁ。あんまり彼のCDは知らないんだ、実はね。
ストレート・ライフとか、ホリデイ・フライトとかベッサメ・ムーチョなどやってくれたら興味深々だね。それじゃあ売れないかな〜。でもおれは買うぞ。
ステファノ・ディ・バティスタって良いなあ、好きだなあ。いつものように快適仕上がりだなあ。
ジャケットのドローイングは上手いんだか下手なんだかよくわからんイラストだ。ワタクシ的には、けっこう下手だと思う。ジャズは自由な音楽だから、自由っぽい線画が使われたりするけど、これはちょっと違うって気がする。

ソニー・ロリンズ、白熱の初ライブ

ヴィレッジ・ヴァンガードの夜

ヴィレッジ・ヴァンガードの夜

ピアノレスカルテットでの演奏です。
ピアノがいないが故に、ソニー・ロリンズのテナーもアドリブの自由度はバシバシ高いです。
堂々たる名演ですね〜。素晴らしい!
若きエルヴィン・ジョーンズも熱演してます。
余計な話ですが、このジャケットのソニー・ロリンズ、なんとなく黒澤監督に似てる…。

アート・ペッパーの全力投球盤

マイルス・デイビスリズムセクションアート・ペッパーの共演です。
その日の朝、オリン・キープニューズから電話でレコーディングを告げられたとのこと。
短時間でセッティングされたセッションが、歴史的名演になってしまいました。
ところで、西海岸のコンテンポラリーは、音が良いので評判のレコードレーベルです。
マイルスのリズムセクションですが、プレスティッジ盤で聴いている音と明らかに異なり、スケール感たっぷりの音。とくにフィリー・ジョーのドラムの音が、すごく生な感じに聴こえます。ポール・チェンバースのベースの音もコクがあります。
モノクロの映像から、カラーに変わった感じです。
そういえばコンテンポラリーはカラーのジャケットが多いですね。
しかもかなりビビッドな色も使ってます。
アート・ペッパーいつもよりかなりテンション高い演奏。
いろいろなところで語られている一枚なので、あまり書くこともありませんが、ピアノのレッド・ガーランドが、得意のブロックコードのソロを、ほとんどやっていないのはなぜでしょう。
このジャケットも好きです。ピンクのシャツが粋です。

ナイト・ドリーマー

ナイト・ドリーマー

ナイト・ドリーマー

ウエイン・ショーター以下、すべてパワフル表現は十八番だぜ。という者同士の共演ですが、ここでは抑制された演奏が、かえってスゴ味を感じさせる名演。エルヴィン・ジョーンズは、野生という名の理性をリズムに刻み、マッコイ・タイナーのピアノは夜の街をきらきらと流転する。モーガンはシブイ光りを放ち、ショーターは理性という名の狂気を歌う。全曲ショーターのオリジナル。
ジャケットが出色。まさにこのニュアンスの作品。これがリード・マイルスのデザインだ。

ハードバップのルー・ドナルドソン

ウェイリング・ウィズ・ルー

ウェイリング・ウィズ・ルー

なぜかこのジャケット、リード・マイルスのデザインではありません。
なんだか平凡なデザインに感じます。すると中味までテンション下がって聴こえるから不思議です。
ドナルド・バードのトランペットの音は軽やかで可愛い。
ルー・ドナルドソンのアルトもけっこう音色可愛いもんね。
初発のキャラバンからイイ感じ。
これは音色で聴けちゃう一枚かも。
ハーマン・フォスターのピアノも聴きどころ。
あ〜、やっぱりジャケットのデザインが平凡だ。
やはりレコードやCDにおいては、もうひとりの演奏家がデザイナーだと思うな〜。